国民体育大会のスポーツクライミング競技は、2名で1チームの団体競技です。
競技は「ボルダー競技」と「リード競技」の2種目があり、2名がそれぞれ2種目を競技し、
種目ごとにチームの順位をつけて争われます。
ボルダー競技とは、ボルダ-(河原などにある高さ3~5m位の大岩)を登ることから転じてネーミングされたスポーツクライミング競技です。その課題を登りきった回数(完登数)を競います。リード競技は登る距離が長い分、持久力が重視されるのに対し、ボルダー競技は、登る距離が短い分、ルートもスタートから難易度が高く、瞬発力とテクニックが重視されます。ロープを使わないので、安全確保のため落下しても怪我をしないように下にマットを敷いて競技を行います。
ボルダー競技は、高さ5m、幅6m位の比較的低いクライミングウォール2基に各2本ずつ設定されたボルダーを使用し、オンサイトで実施されます。オブザベーションの時間は、1基のクライミングウォール当たり4分間です。2名の選手がどちらの面を登るかは自由ですが、同時に1つの面に取り付くことはできません。また、選手同士であれば登り方のアドバイスも可能です。2名の選手が制限時間をいかにうまく使って2つのボルダーをそれぞれ攻略するかがカギを握ります。
スタートのホールドから任意に設定されたホールドを利用して、終了点のホールドを両手で保持することができれば最高の「TOP(完登)」となります。もし完登できなくても、途中に設定してあるゾーンホールドを保持することによってゾーンポイントを得ることができます。
ボルダー競技では、試技のことをアテンプトといい、リード競技とは異なり、ローテーションタイム(競技時間)(5分間)内であれば、途中で落ちても何度でも最初からアテンプトをし直すことができます。しかし、アテンプト数(登った回数)は審判員がカウントし、完登数が並んだ場合にはアテンプト数が多いほど順位は下がっていきます。いかに少ない回数で終了点のホールドや途中のゾーンポイントのホールドに到達できるかが見所となります。
予選は、競技時間内にチームの選手2名がまず1基目の2つのボルダーで競技を行います。1基目の競技が終わると5分間のローテーションタイム(休憩時間)が与えられ、チームの選手2名は次の2基目の競技を見ないようにして休憩します。休憩時間が終わるとすぐに次の2基目のボルダーを同様に5分間で登り、2基目の競技が終了するとそのチームの競技終了となります。チームの選手2名は、それぞれ4つのボルダーを登ることになり、その競技結果をもとに算出された2名の個人得点を合わせたチームの総合得点で順位を競います。 決勝には、上位8チームが進出します。
決勝は、初めに1基目のクライミングウォールのボルダーで全チームが競技順に競技を行い、その終了後に2基目のクライミングウォールのボルダーで全チームが競技順に競技を行います。
(オンサイト:選手は、事前にそのルートを登ることは許されず、試技の前に競技するルートを観察することが許されます。これをオブザベーション(下見)といいます。オブザベーションだけで試技することをオンサイト(初見)といいます。選手は、オブザベーション後は、アイソレーション・ゾーンに隔離され、他の選手の登りを見たり、情報を得たりすることは一切できません。)
リード競技は、高さ12m以上、幅3m以上のクライミングウォール(人工壁)に取り付けられたホールドと呼ばれる手がかりや足がかりで作られたルートを登り、その到達高度を競う競技です。
登る選手は安全のため、ロープ(命綱)でビレイヤー(確保者)が確保しながら、ルートの途中に設置してある支点に取りつけられたクイックドローという器具にロープをかけながら登っていきます。
ルートは、左右2ルートあり、近似ルートに設定されています。また、クライミングウォールは、難易度に応じて傾斜が自由に変更できるようになっています。
予選は、他の選手の登りを見て参考にすることができるフラッシュ方式で行われ、2名の選手が、それぞれ割り当てられたルートを、各ルートの競技順で登ります。決勝へは、上位8チームが進出します。
決勝は、オンサイト方式で行われ、2名の選手が同時にそれぞれに割り当てられたルートを登ります。
競技は、スタートのホールドから任意に設定されたホールドを利用して、終了点のホールドまで落ちずに登り、終了点のカラビナ等にロープをかければ最高の「TOP(完登)」となります。試技は1度だけで、制限時間(6分)内にどのホールドまで登れたかで選手の到達高度が計測されます。途中で落下したり、違反行為があれば、その到達高度で終了となります。
それぞれの選手の到達高度からまず個人順位ポイントを算出し、その個人順位ポイントを相乗した値が少ないチームが上位となります。
国際スポーツクライミング競技連盟(IFSC)競技規則
次の(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会のホームページをご参照ください。
https://www.jma-sangaku.or.jp/sports/?ca=18
センターにおいて、公式のコンペは、クライミング年1回、ボルダー年2回程度開催しています。
その目的は、来場者のレベル向上を目的として、
がありますが、このほかにセンター管理上定期的に行うルート・課題の改変および変更の、重要で欠くことの出来ない機会であると考えています。
そうした意味合いで、今後ともコンペはますます必要な位置づけのイベントとして開催していきますし、会場を変更して開催することもありません。
攻略しようとするルートや課題がある利用者の方は、コンペとコンペの間に通常2〜4ヶ月の期間があるので、その間に登れるようにトレーニングしていただければよいと考えています。
コンペ開催時に加え、ルート・課題変更のメンテナンス、必要に応じた変更は随時実施しているところですが、いずれも国内トップクライマーを招聘して、安全性の確保を基本に初心者から上級者までが楽しめ、トレーニングの実効性に資する内容となるよう充分配意しています。
センターのボルダー課題については、テープによる表示が増えると表示が交錯することもありますので、ノートに記録していくことを基本としています。ノートに記された課題について利用者自身がホールドを確かめながら登ることで利用者のレベル向上につながるものと考えています。
ただ、初級者向けとして、テープ課題はある程度数確保していくことは必要と考えていますので、コンペ終了後は今後ともクライミングルートを含め速やかにテープを貼り直すことを励行していきたいと思います。また、その数も増やすことを考えていきます。
福井県立クライミングセンターでは、利用者について、
という利用制限をつけています。
その理由としては
などを総合的に判断して、3年生以上という利用制限をかけています。
また、小学生によるビレイは原則禁止としています。さらに、利用者講習会で利用法やビレイを身につけることができない、あるいは体格上他の人のビレイができないと判断した受講者に関しては、利用者講習会受講済証に利用制限の条件をつけたり、危険防止のためその後の利用を断る場合もあります。なお、小学3、4年生の施設利用は、夜7時までとしています。
福井県立クライミングセンターでは、危険性防止(ビレイヤー・スポッターの存在確保)および万が一の事故発生時には通報措置など迅速な対応が必要なことなどを理由に、単独使用を認めておりません。
現状では、土日、休日、平日昼等の利用者が少ないときもありますが、全天候性に配慮した屋内、屋根付き施設として、夜や雨天、悪天時の利用は多くなっています。
また、クライミングが自然の岩場で行われるスポーツであることから、休日の好天時には山や自然の岩場に出かけるクライマーは多く、日曜の昼の利用が少なくなることもあります。
もし、お1人でご利用なさりたい場合には、当センターへお電話いただき(0776-33-3444)、インストラクターか他の利用者が来ているかご確認ください。